便秘あるいは下痢とのお付きあい・・

 便秘には大雑把に言って弛緩性便秘、反射性便秘、痙攣性便秘がある。

 まずは便意を我慢することによる反射性便秘がおこり、常習することで弛緩性便秘に移行する。(逆だったかもしれないが・・)

 通常便意はS字結腸反射により発生する。直腸に送り出された便はさらに直腸反射により一気に送り出される。この一連の神経反射が便意を我慢することの常習によって発生しなくなることがこの便秘を招く。

 反射性便秘に至り、さらに長期にわたって便秘が続くと腸組織自体の蠕動運動が起こらなくなり、組織の弛緩が発生する。これが弛緩性便秘である。こうなると腸組織自体が復元するまで長い時間をかけなければならない。

 一方、痙攣性便秘の場合は腸組織が過敏になりすぎることで強い蠕動運動が発生し、便が進行せず滞留したまま水分吸収が進み、ころころした固い便が生まれることになる。

 この便秘の場合、その性質からも明らかなように常に激しい下痢と隣り合わせである。

 出口付近に相当に固い便が詰まった状態のまま、激しい下痢に襲われると地獄を見ることになる。腹はきりきり痛み、今にも噴出しそうな便意を抱えつつ出口付近で往時の学生運動家のバリケードのごとく踏ん張っているモース硬度のかなり高位置に着けるに違いない便によるけつに栓がされた状態というのは、今思い出しても戦慄する思いがする。

 そして何より怖いのは均衡が破れ下痢便の噴出する瞬間である。押さえに押さえられた下痢便の噴出速度は肛門付近でベルヌーイの法則も相まって相当の速度に達する。(もちろん測定したことはないが・・)下痢便だけなら被害は少ない・・が、その先頭にはバリケードの残骸たる相当に固い便秘便があるのだ。こいつが肛門を通過する瞬間、「ザリッ!」という擦過音を伴って肛門内皮を引き剥がしながら飛び出していった瞬間、「やってしまった・・」という後悔が頭をよぎる。こういうときである、下痢便の後に血を見るのは・・切れ痔とはまた少々様相を異にしているので便秘にさえ気をつければ早晩治癒することではあるのだが、男の身としては、血に染まった便器を見るのは愕然たるものがある。

 実に痙攣性便秘の場合はこういう経験をしばしばしなくてはいけないことになる。弛緩性便秘や反射性便秘の改善に有効な繊維質摂取も痙攣性便秘に関しては腸壁に対する刺激となることから控えなくてはいけないことも多い。が、私は野菜が好きなのだ・・

 痙攣性便秘には低刺激性の食物を取ることと、神経の興奮を押さえるカルシウム剤の摂取が有効とされる・・が、本人の性格、性質が大きく物を言うことは私自身が証明している。


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